岩手県盛岡市 糖尿病専門医のいるクリニック


糖尿病(ダイアベティス)について

日本糖尿病学会と日本糖尿病協会は2023年9月22日、糖尿病の新たな呼称案として「ダイアベティス」を提案すると発表しました。「糖尿病」という呼称にまつわるスティグマ(偏見や差別)、負のイメージを払しょくするのが狙いとされています。

①糖尿病(ダイアベティス)とは

糖尿病(ダイアベティス)は、インスリンが十分に働かず、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増える病気です。
 膵臓の機能が低下してインスリンの分泌が不足したり、肥満になってインスリンの効き目が弱くなったりすると、インスリンが十分に働かなくなり、血糖値が高くなります。

 テレビ岩手 「いわて元気〇(マル)」において、糖尿病(ダイアベティス)について解説しました。
テーマ;1回目【糖尿病①症状と合併症】 2回目【糖尿病②治療法と血糖値スパイク】

糖尿病の成因分類

糖尿病には様々なタイプがありますが、大まかに①1型糖尿病、②2型糖尿病、③その他の原因による糖尿病、④妊娠糖尿病の4つに分類されます。

②糖尿病の食事療法

1日の適正なエネルギー量をもとに、血糖上昇に影響する炭水化物を「適量」に

食事療法のポイント

    ◆腹八分目としましょう。
    ◆食品の種類はできるだけ多くしましょう。
    ◆脂肪は控えめに。
    ◆食物繊維を多く含む食品(野菜,海藻,きのこなど)をとりましょう。
    ※玄米や麦ごはんなど、穀物からも食物繊維をとりましょう。
    ◆朝食,昼食,夕食を規則正しく。
    ◆ゆっくりよくかんで食べましょう。
    ●食べる順番も工夫しましょう。(野菜から食べ始める)

◆栄養バランスの整った食事をとりましょう。


食品交換表による食品の分類 いしい内科・糖尿病クリニック

▼献立の基本である主食・主菜・副菜をそろえましょう。

一汁三菜 いしい内科・糖尿病クリニック
3つの器でバランス食! いしい内科・糖尿病クリニック

◆食物繊維(野菜,海藻,きのこなど)を摂りましょう。

◆カーボカウントとは、炭水化物量を把握し、血糖値の調整を試みる方法です。

◆高血圧もある方は塩分を控えましょう。

◆アルコールや果物の摂りすぎによって中性脂肪が増加するので注意しましょう。

◆間食のとり方も工夫しましょう。

③糖尿病の運動療法

“からだ”うごかしていますか?

「中等度の歩き」が効果的です。

ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、体操とレジスタンス運動を組み合わせて運動するのが効果的です。

運動を楽しみましょう! いしい内科・糖尿病クリニック

毎日の運動療法のコツとしては、楽しみながら続けられる、自分にとって適切な運動を医師と相談しながらみつけて、それを実践していくことです。
 ただ運動療法を糖尿病治療の一環としてだけ捉えるのではなく、上手に体を動かすことで、レクリエーションとして楽しみ、潤いのある日常生活に変えていきましょう。

★運動療法を続けることのメリット

●血糖値が下がる
エネルギー源としてブドウ糖が消費されます。
血糖値が高くなる食後1~2時間に運動すると効果的です。

●血糖値をコントロールしやすくなる
筋肉が糖を取り込み、血糖値が下がりやすくなります。

●体重を減らす
運動により消費エネルギーを増やし、体重を減らすことにつながります。

●心肺機能が高まる
血行が良くなります。
血圧が下がり合併症予防につながります。

●善玉コレステロールが増える
動脈硬化予防につながります。

●他にも
筋肉がつき、身動きが楽になり活動量が増えることにつながります。
骨が丈夫になります。
ストレス解消につながります。

④糖尿病の薬物療法(飲み薬)

病態に合わせて経口薬を使い分けます。

●インクレチンの働きを改善する薬

◆DPP-4阻害薬

○小腸から分泌される「インクレチン」というホルモンの働きを強めます。
その結果、血糖を下げるインスリン分泌を刺激し、血糖を上げるグルカゴン分泌を抑えます。
●高血糖時のみ効果を発揮するので、この薬だけでは低血糖を起こしにくい

◆GLP-1受容体作動薬

○GLP-1受容体作動薬には飲み薬もあります。
リベルサス🄬はGLP-1と似た作用を持ち、血糖値が高いときにすい臓からインスリンを出すように働きかけ、血糖値を下げます。
●リベルサス🄬の効果を発揮するためには、服用前後に胃の中を空っぽにしておくことが大切です。


●インスリンの働きを改善する薬

◆ビグアナイド薬

いしい内科・糖尿病クリニックでは、ビグアナイド薬はメトホルミンを処方しています。

○主に 肝臓で糖が作られるのを抑えます。また、糖の吸収を抑制したり、筋肉でのインスリンの効きを改善する働きがあります。
●起こりやすい副作用:吐き気、下痢、食欲不振など

◆チアゾリジン薬

○脂肪組織、筋肉、肝臓などに働きかけて、インスリンの体への効きを高めます。
●起こりやすい副作用:むくみ、体重増加など

●尿糖を増やし血糖値を下げる薬

◆SGLT-2阻害薬

心臓や、腎臓を守る働きがあることが分かってきており、当院でも処方することが増えてきました。

血液中の過剰な糖を尿中に排出させることで血糖値を下げる薬です。体重を減らす働きも期待できます。
●起こりやすい副作用:脱水、尿路・性器感染など

●インスリンの分泌を増やす薬

◆スルホニル尿素(SU)薬

SU薬は少量のみとするように心がけています。

○膵臓のインスリン分泌を促進します。
●起こりやすい副作用:低血糖、体重増加など

◆速効型インスリン分泌促進薬(グリニド)

○速やかに短時間膵臓のインスリン分泌を促進します。食後高血糖を改善します。(食直前内服)
●起こりやすい副作用:低血糖など


●糖の吸収を遅くする薬

◆α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

小腸での糖質の消化・吸収を遅らせます。食後高血糖を改善します。(食直前内服)
●起こりやすい副作用:腹部膨満感、下痢、おならの増加など

⑤GLP-1受容体作動薬

GLP-1というホルモンの作用を利用したお薬がGLP-1受容体作動薬です。
膵臓に対する作用:血糖値が高いときにインスリンを出すように働きかけ、血糖値を下げます。
膵臓に対する作用のほか、胃腸の動きを抑えたり、脳に働きかけて食欲を抑える働きがあります。

GLP-1受容体作動薬は今まで注射しかありませんでしたが、飲み薬が新たに登場しました。

⑥インスリン療法

インスリンは怖くありません

インスリン治療を始めたからといって,一生インスリンをやめることができなくなる,ということはありません。
 高血糖による悪循環(糖毒性)が主な原因で血糖が悪化した場合には,インスリン治療で悪循環がなくなれば,血糖値が下がった後にインスリンを中止できる場合もあります。
 膵臓が休まることによってインスリン分泌機能を回復させると考えられています。

インスリンの分泌には、24時間ほぼ一定量を出し続ける基礎分泌と、食事を摂ることによって出てくる追加分泌の2種類があります。

糖尿病の薬物療法(インスリン療法) インスリン注射は基礎分泌や追加分泌を補います。
インスリン注射を行うことで、上の図の基礎分泌追加分泌を補います。
糖尿病の薬物療法(インスリン療法)
 注射する部分は、一般的にお腹・腕(二の腕)・太ももです。体型によって好ましい部位が異なりますので、医師に相談をしてみるのもいいでしょう。
注射部位は、毎回2~3cmずらすなど毎回注射を行う部分を少しずつかえるようにしましょう。

インスリンなど注射製剤の外来導入

いしい内科・糖尿病クリニックでは外来でインスリン、GLP-1受容体作動薬の注射製剤の導入が可能です。
外来で行う最大のメリットは、日常生活を続けながら治療ができるという点にあります。
ですが、インスリン注射の打ち始めは誰でもが不安であると思います。
いしい内科・糖尿病クリニックでは患者さんの不安を取り除くために、医師や看護師が丁寧に何度でもインスリン注射の方法を説明します。

糖尿病専門医による安心の医療を提供します。いしい内科・糖尿病クリニック
inserted by FC2 system