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機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアとは

機能性ディスペプシアとは、胃の痛みや胃もたれなどのつらい症状が続いているにもかかわらず、内視鏡検査を行っても異常がみつからない病気です。

生命にかかわる病気ではありませんが、つらい症状により、患者さんの生活の質を大きく低下させてしまう病気です。
この「機能性ディスペプシア」という病気の概念は、近年になって新しく確立したものです。それまでは、機能性ディスペプシアの患者さんの多くは「慢性胃炎」や 「神経性胃炎」と診断されていました。本来「胃炎」とは、胃の粘膜に炎症が起きている状態を表す言葉です。ところが、胃炎があっても症状があるとは限らず、 逆に症状があっても胃炎が認められないことも多々あります。そこで、症状があってもそれを説明できる異常がさまざまな検査でも認められない場合、 胃に炎症があるなしにかかわらず「機能性ディスペプシア」と呼ばれるようになりました。

代表的な症状は4つです。

食後愁訴症候群(PDS)

◆食後のもたれ感

普通の量の食事をした後、食べ物がいつまでも胃の中に停滞しているような不快感を指します。

◆食事開始後すぐに食べ物で胃が一杯になるように感じて、それ以上食べられなくなる感じ(早期飽満感)

少し食べただけで、すぐに「おなかがいっぱいになった」と感じ、それ以上食べられなくなる感じを指します。

心窩部痛症候群(EPS)

◆みぞおちの痛み(心窩部痛)

みぞおちのあたり(心窩部)に起こる痛みを指します。熱感をともなう場合とともなわない場合があります。

◆みぞおちの焼ける感じ(心窩部灼熱感)

みぞおちのあたりに起こる熱感をともなう不快感を指します。似た症状の「胸やけ」は、みぞおちではなく胸の方に起こる不快感を指します。

機能性ディスペプシアの原因

● 運動機能障害

貯留機能の障害

食べ物が食道から胃へ入ってきても胃の上部がうまく広がらず、入ってきた食べ物を胃の中にとどめることができなくなってしまう状態を指します。 これにより、早期飽満感や痛みなどが引き起こされます

排出機能の障害

胃の中にある食べ物を、十二指腸へうまく送ること(排出)ができず、胃の中に食べ物が長くとどまってしまう状態を指します。 これにより、胃もたれなどが引き起こされます。一方で、胃から十二指腸への排出が速くなってしまい、痛みなどの不快感が引き起こされる場合もあります

貯留機能と排出機能の関係

胃の貯留機能と排出機能は密接に関係しているといわれています。 本来、胃の中の食べ物は十分な時間をかけて十二指腸へ運び込まれますが、胃の貯留機能が障害されると、急に十二指腸へ食べ物と胃酸が運び込まれてしまいます。 すると、十二指腸は胃の排出機能を抑えるように働きかけて、結果として食べ物が胃から排出されなくなり、胃もたれなどの症状を引き起こす場合もあります。

● 胃の知覚過敏

「知覚過敏」とは胃が刺激に対して痛みを感じやすくなっている状態を指します。正常であれば何も感じない程度の刺激であっても、「知覚過敏」の状態では、 少量の食べ物が胃に入るだけで胃の内圧が上昇し、早期飽満感が引き起こされたり、胃酸に対して過剰に痛みや灼熱感などを感じることがあります。

● 胃酸分泌

十二指腸に胃酸が流れ込むことによって胃の運動機能が低下し、胃もたれなどのさまざまな機能性ディスペプシアの症状が引き起こされることが知られています。 また、知覚過敏の状態では正常な胃酸分泌であっても痛みや灼熱感などを感じることがあります。

● 心理的・社会的要因

生活上のストレスなどの心理的・社会的要因と機能性ディスペプシアは関係があると言われています。

● ヘリコバクター・ピロリ菌

ピロリ菌とは胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎、胃がんなどにかかわる、胃粘膜に生息する細菌です。このピロリ菌と機能性ディスペプシアの関係は明らかにされていません。 しかし、ピロリ菌に感染している機能性ディスペプシアの患者さんに除菌療法を行うと、機能性ディスペプシアの症状が改善するという報告もあります。

治療

薬物療法

■消化管運動改善薬

 胃もたれや早期飽満感がある場合には、消化管のはたらきを活発にする消化管運動機能改善薬が使われることがあります。ドパミンD2受容体受容体拮抗薬や セロトニン5-HT4受容体作動薬、漢方薬など、さまざまな種類があります。

■酸分泌抑制薬

十二指腸に胃酸が流れ込むことによって胃の運動機能が低下し、さまざまな機能性ディスペプシアの症状が引き起こされることが知られています。 また、胃が知覚過敏の状態では、正常な胃酸分泌であってもみぞおちの焼けるような感じや痛みを感じることがあります。
酸分泌抑制薬は、胃酸の分泌を抑え、みぞおちの焼けるような感じや痛みを改善させます。
酸分泌抑制薬には、ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)や、プロトンポンプ阻害薬(PPI)といった種類があります。

■抗うつ薬、抗不安薬

消化管運動機能改善薬や酸分泌抑制薬でも症状がよくならない場合は、抗うつ薬や抗不安薬が使われることがあります。

■ピロリ菌を除菌するための薬物療法

ピロリ菌に感染している機能性ディスペプシア患者さんに除菌療法を行うと、機能性ディスペプシア症状が改善するという報告もあります。ピロリ菌除菌のために 3種類の薬(主に抗菌薬2種類とプロトンポンプ阻害薬)を7日間飲み続ける治療法があります。
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