ヘリコバクター・ピロリ菌とは
●ヘリコバクター・ピロリ菌は胃の粘膜に生息しているらせんの形をした細菌です。
1982年にオーストラリアのワレンとマーシャルという医師が胃の粘膜からの培養に成功し、ピロリ菌が胃の中に生息していることを報告しました。
どのようにしてピロリ菌に感染するのですか?
●感染経路は口からの感染(経口感染)が大部分です。
●ピロリ菌の感染率は、乳幼児期の衛生環境と関係していると考えられており、上下水道が十分普及していなかった世代の人で高い感染率となっています。
ピロリ菌の除菌治療
●ピロリ菌の除菌療法とは、1種類の「胃酸の分泌を抑える薬」と、2種類の「抗菌薬」の合計3剤を同時に1日2回、7日間服用する治療法です。
●すべての治療が終了した後、4週以上経過してから、ピロリ菌が除菌できたかどうか、もう一度検査する必要があります。
※除菌が成功した場合でも、まれに胃がんなどを発症することがあります。
そのため、除菌が成功した後も定期的な検査を受けることが大切です。
除菌療法の注意点
●確実にピロリ菌を除菌するために、指示されたお薬は必ず服用するようにしてください。
(1種類の「胃酸の分泌を抑える薬」と、2種類の「抗菌薬」の合計3剤を同時に1日2回、7日間服用してください)
●自分の判断で服用を中止すると、除菌に失敗して、薬が効かないピロリ菌があらわれることがあります。
●すべての治療が終了した後、4週間以上経過してから行うピロリ菌の検査(除菌できたかどうかの検査)は必ず受けてください。
●副作用があらわれたと思ったら、医師に相談してください。
一次除菌が失敗した場合
●一次除菌療法でピロリ菌が除菌できなかった場合は、2種類の抗菌薬のうち1つを初回とは別の薬に変えて、再び除菌療法を行います。
●一次除菌療法で除菌ができなかった場合でも二次除菌療法をきちんと行えば、ほとんどの場合、除菌が成功すると報告されています。
●二次除菌療法の間は、アルコールの摂取(飲酒)を避けてください。
除菌療法の副作用について
●これまでに除菌療法の主な副作用として以下の事象が報告されています。
➊軟便、下痢
便がゆるくなったり、下痢を起こしたりすることがあります。
➋味覚異常
食べ物の味をおかしいと感じたり、
にが味や金属のような味を感じたりすることがあります。
➌肝機能(AST、ALT)の変動
肝臓の機能を表す検査値が変動することがあります。
➍アレルギー反応
発疹やかゆみがあらわれることがあります。
ピロリ菌の検査について
●ピロリ菌の検査には、内視鏡を使う方法と内視鏡を使わない方法があります。
※保険でピロリ菌の診療を受けるには、内視鏡検査を受けて頂く必要があります。
内視鏡を使う方法
➊迅速ウレアーゼ試験
陰性
陽性
ピロリ菌のもつ酵素のはたらきで作り出されるアンモニアを調べて、ピロリ菌がいるかどうかを調べます。
➋鏡検法
採取した組織を染色して顕微鏡で観察することにより、ピロリ菌がいるかどうかを調べます。
➌培養法
採取した組織を用いて培養し、ピロリ菌が増えるかどうかを調べます。
内視鏡を使わない方法
➊抗体測定
血液や尿を採取してピロリ菌に対する抗体の有無を調べることにより、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べます。
➋尿素呼気試験
検査用のお薬を飲み、一定時間経過した後に、吐き出された息(呼気)を調べて、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べます。
➌便中抗原測定
便を採取してピロリ菌抗原があるかどうかを調べます。
※保険でピロリ菌の診療を受けるには、内視鏡検査を受けて頂く必要があります。
除菌後のフォローアップ
除菌に成功したからといって、胃がんなどの病気にならないわけではありません。
ピロリ菌に感染している期間が長いと、胃の粘膜が正常に戻るのに時間がかかるからです。
除菌後も定期的に内視鏡検査を受け、胃の状態を確認しましょう。