岩手県盛岡市 糖尿病専門医と整形外科専門医のいるクリニック
骨粗鬆症は、骨の強度が低下しているために、重い物を持ち上げたり、転んだりするような、わずかな力で骨折が起こる病気です。患者数は男性が約300万人、 女性が約980万人と推計され、毎年、男性約16万人、女性約81万人が骨粗鬆症になっているといわれています。
骨粗鬆症の原因はさまざまです。高齢者では性ホルモンンの低下があり、その影響は女性のほうが強いことから、閉経後の女性に多いことが知られていますが (閉経後骨粗鬆症)、骨粗鬆症自体は、男性にも起こりうる病気です。
骨粗鬆症には、2つのタイプがあります。1つは、加齢による「原発性骨粗鬆症」です。もう1つが特定の病気や治療薬が原因で起こるもので、「続発性骨粗鬆症」 と呼びます。
いしい内科・糖尿病クリニックの骨密度測定はデジタル骨塩定量測定(DIP法)を用いています。第2中手骨を測定して骨塩定量測定を行います。
隠れた圧迫骨折がないかどうか、骨変形・椎間板変性によって背骨が変形していないかどうか、などを判定します。
1型糖尿病や2型糖尿病の患者さんのいずれも、糖尿病のない方と比べて骨折しやすいことが分かり、糖尿病は骨粗鬆症の原因になることが、統計学的に証明されました。
その後の検討により、糖尿病による骨粗鬆症の特徴が明らかになっています。骨密度が低いと骨折しやすくなることは、糖尿病以外の方と変わりありませんが、 糖尿病患者さんは、骨密度が保たれているにもかかわらず骨折しやすいことが分かりました。実は、骨折には、骨密度の低下だけではなく、骨密度に反映されない骨の 強度を規定する「骨質」というものが考えられることが分かってきました。これらの特徴から、糖尿病患者さんの骨粗鬆症は、骨の質が低下した「骨質低下型」の 骨粗鬆症であると考えられています。
食事は栄養バランスの良いもので、塩分や脂肪分の多い物は控えて下さい。カルシウムは食品として700~800mg/日以上を目標にし、カルシウムだけでなく、ビタミンDやビタミンKの摂取も心がけましょう。 カルシウム摂取が不足すると骨粗鬆症の原因となるだけでなく、血管などの組織にカルシウムが逆に増え、動脈硬化症・糖尿病・高血圧など様々な疾病が起こります。骨粗鬆症の患者さんでは動脈石灰化による冠状動脈疾患・心臓病が多くみられることはよく知られており、骨粗鬆症を予防すると同時に動脈硬化を防ぐためには、適切なカルシウム摂取と同時にカルシウム以外の骨代謝に必須の栄養素であるビタミンDやビタミンKの摂取が推奨されています。 骨粗鬆症の人が避けるべき食品は特にありませんが、カフェイン、アルコールなどの摂り過ぎには注意しましょう。過量のアルコールは、カルシウムの吸収を妨げたり、尿からのカルシウムの排泄量を増やしたりします。カフェインもまた、カルシウムの排泄を促します。
骨は、運動をして負荷をかけることで増え、丈夫になります。さらに、筋肉を鍛えることで体をしっかり支えられるようになったり、バランス感覚が良くなったりし、ふらつきが無くなって転倒防止にもつながるため、運動療法は骨粗鬆症の治療に不可決です。
激しい運動をする必要はなく、散歩などは週に数回でも十分ですので、とにかく長く続けましょう。また脊椎の骨折を防ぐため、背筋を鍛える運動が効果的です。
薬による治療は検査結果をもとに、病気や身体状況を考慮して選択していきます。骨粗鬆症治療薬の分類としては、「骨吸収抑制薬」と「骨形成促進薬」に分けられ、その他に骨密度を上げるために補助的に併用するものも出てきております。薬の効果には個人差があり、副作用がでることもありますので、外来で定期的な検査を行いながら続けていくことが必要です。
骨吸収抑制薬 … ビスホスホネート製剤、SERM製剤、抗RANKLモノクローナル抗体製剤
骨形成促進薬 … PTH製剤(副甲状腺ホルモン)製剤
補助的な薬 … ビタミンD製剤、ビタミンK製剤など